トレシック(Très chic)の意味とは?日本語の「シック」とフランス語の chic の意外なズレ
「シックな装い」「シックな色合い」。日本語としてすっかり定着した「シック」。実はこれ、フランス語の chic がそのまま入ってきた言葉です。
ところが面白いことに、日本での「シック」とフランスでの chic は、意味が微妙にズレています。パリでデザインスタジオを営む私たちBeurre Confitureが、その違いと「トレシック」の正しい使い方をお伝えします。
トレシック(Très chic)の基本の意味
- très(トレ)=とても
- chic(シック)=粋な、洗練された、素敵な
合わせて「とても洗練されている」「実に粋だ」。発音は「トレ・シック」。相手の装いやセンスを褒める、フランス語でもっとも使用頻度の高い褒め言葉のひとつです。
日本語の「シック」とのズレ
日本で「シック」というと、多くの場合「落ち着いた」「渋い」「モノトーンやダークカラーの」という、色柄の傾向を指す言葉として使われます。「シックな内装」と言えば、黒やグレー基調の空間を思い浮かべる方が多いはずです。
しかしフランス語の chic は、色のことではありません。指しているのは佇まい。洗練されていて、素敵で、センスがいい、という総合的な褒め言葉です。だから、鮮やかな色のワンピースも、気の利いたアイデアも、小さなレストランも、フランスでは全部 chic になり得ます。
- Tu es très chic aujourd'hui !(テュ・エ・トレ・シック・オージュルデュイ/今日、すごく素敵だね!)
- C'est chic comme idée.(それは気が利いたアイデアだね)
- Un petit resto très chic.(とても粋な小さなレストラン)
chic の核心は「努力を見せないこと」
chic という言葉は、19世紀のパリのモード誌から世界に広まりました。そして当時から今まで変わらない核心がひとつあります。それは、頑張って見えないこと。
気合いの入った完璧な着こなしは、フランスでは chic とは呼ばれません。さらりと羽織っただけなのに様になっている。その力の抜け方こそが chic の条件です。褒め言葉として使うときも、大げさに叫ぶのではなく、少し目を見開いて「Très chic !」とさらりと言うのが正解です。
「TRÈS CHIC」を着るということ
私たちのコレクションには、この言葉をそのまま胸に刻んだシリーズがあります。褒め言葉を自分で着てしまう。そこには少しのユーモアと、「今日の自分に、さらりと敬意を」という気分が込められています。
スウェットにスラックスを合わせるだけの週末の装いこそ、chic の思想そのもの。ラ・ヴィ・アン・ローズの楽観と並ぶ、フランス的エレガンスのもうひとつの柱です。
まとめ
- トレシック(Très chic)=「とても洗練されている」。フランス語で最頻出の褒め言葉のひとつ
- 日本の「シック=落ち着いた渋い色」とは違い、色ではなく佇まい全体を褒める言葉
- 核心は「努力を見せない優雅さ」。完璧より、力の抜け方
- 人にも、服にも、アイデアにも、店にも使える万能の一言
次回は、フランス語でもっともロマンチックな表現のひとつ「クー・ド・フードル(Coup de foudre)」。直訳「雷の一撃」がなぜ「一目惚れ」になるのかをご紹介します。

