ラ・ヴィ・アン・ローズ(La vie en rose)の意味とは?「バラ色の人生」に込められたフランス人の世界観
「ラ・ヴィ・アン・ローズ」。シャンソンにあまり詳しくなくても、この言葉の響きはどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。映画のタイトルになり、世界中のアーティストにカバーされ、いまもパリの街角で流れ続けている言葉です。
でも、正確にはどういう意味なのか。そして、フランス人は今もこの表現を日常で使うのか。パリでデザインスタジオを営む私たちBeurre Confitureがお伝えします。
ラ・ヴィ・アン・ローズの基本の意味
- la vie(ラ・ヴィ)=人生
- en rose(アン・ローズ)=バラ色に、バラ色の
直訳すると「バラ色の人生」。発音は「ラ・ヴィ・アン・ローズ」です。
慣用句「voir la vie en rose」。人生をバラ色に見る
この言葉は歌のタイトルである前に、フランス語の日常的な慣用句です。
voir la vie en rose(ヴォワール・ラ・ヴィ・アン・ローズ)=人生をバラ色に見る=物事を前向きに、楽観的に捉える
特によく使われるのが、恋をしている人の心理状態を表すとき。恋に落ちると、同じ街も同じ毎日も、急に輝いて見える。あの感覚を、フランス語では「人生がバラ色に見えている」と表現するのです。英語の rose-colored glasses(バラ色の眼鏡)も同じ発想から来ています。
エディット・ピアフと1946年のパリ
この言葉を世界に広めたのは、シャンソン歌手エディット・ピアフが1946年に発表した楽曲です。第二次世界大戦が終わった直後、まだ傷跡の残るパリで、「それでも人生はバラ色に見える」と歌ったこの曲は、時代そのものの希望の象徴になりました。
以来80年、ルイ・アームストロングをはじめ世界中の音楽家がカバーし、フランス語を知らない人にも「ラ・ヴィ・アン・ローズ」という言葉だけは届き続けています。
使い方・例文
— Depuis qu'il est amoureux, il voit la vie en rose.
(ドゥピュイ・キレ・タムルー、イル・ヴォワ・ラ・ヴィ・アン・ローズ/恋をしてから、彼には人生がバラ色に見えている)
— Aujourd'hui, tout est rose !
(今日は何もかもバラ色!=最高の一日!)
逆の表現もあります。voir la vie en noir(人生を黒く見る)=悲観的になる。フランス語では、心の状態を色で語るのです。
フランスにおける「ローズ」という色
日本で「ピンク」というと、可愛らしさや子どもっぽさを連想する方もいるかもしれません。しかしフランスの rose は、楽観・優しさ・人生への信頼を象徴する、きわめて大人の色。男性がローズのシャツやニットを着ることも、パリではごく自然な光景です。
「LA VIE EN ROSE」を着るということ
私たちのコレクションの中心には、この言葉を花のモチーフとともに刻んだシリーズがあります。大人の男性が花を纏う。日本では少し勇気がいるかもしれませんが、それこそがパリ的な発想です。
人生を悲観する理由なら、いくらでも見つかります。それでもバラ色の側を選ぶ。ジョワ・ド・ヴィーヴル(生きる喜び)と同じく、これは楽天性ではなく、意志としての楽観なのです。
まとめ
- ラ・ヴィ・アン・ローズ(La vie en rose)=「バラ色の人生」
- 慣用句 voir la vie en rose =物事を前向きに見る。特に恋する人の心理を表す
- 1946年、エディット・ピアフが戦後パリの希望として歌い、世界へ広まった
- フランスの rose は子どもっぽい色ではなく、楽観と優しさを象徴する大人の色
次回は、日本語にもなった言葉「シック」の本当の意味。「トレシック(Très chic)」をご紹介します。日本での使われ方とフランスでの意味には、実は大きなズレがあります。


